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舞台有頂天家族感想(ネタバレあり)

 

【場所】

南座ですよ南座……!このためにわたしは関西に来たのかもしれない、とすら思うようなロケーションでした。

場所は三階席の七列目、わりと後ろのほう。松竹のサイトで選べたんだからもうすこし前にすればよかったかな~と思ったけど、三階席にしたこと自体は後悔していない。周囲の方も親切だったしなによりかなりしっかり段差があって本当に助かった。一階や二階はたぶんフラットなので、非一列目を取っていたら何も見えなかったと思う。あと音声(ジャズ音楽が素敵でした)も結構大きめだったので、距離があるくらいがちょうど良かったな。ただ、狭いし、足が悪かったら上り下りはかなり大変かも……というのは事実です。

距離的にはまあまあです。こちらのブログの記事を参考に、一応オペラグラス(八倍)を買っていきました。檀れいさんのご尊顔を拝みたかったので、あってよかったです。三倍の簡易折りたたみ式でいいなら南座の中で1100円で売っていましたが、本式のを買うなら南座の少し東にある「中井白金堂」さんがいいかも。南座で売っているものは8000円か11000円の二択でしたが、中井白金堂さんには6000円台のいくつかから選べて、親切にしてもらいました。最寄りのEDIONは双眼鏡の取り扱いがないという噂です(詳細不明)。

 

【脚本の感想】

かなり原作の流れと言い回しを活かしてそのまま脚本に落とし込んでいると感じました。満足。ただ、もとよりあのボリュームの話を二百六十分に詰め込むのは大変だっただろうな……とは本当に思う。原作の最初の最初は出町柳で先生のご機嫌伺いというしみったれたシーンだし、矢二郎との対話シーンからはじめたのはちょうどよかったんじゃないかな。もともとが一人称独白形式だと難しいよね。

 

【演技とかについて】

着物姿/タカラヅカ男役姿の檀れいさんがとにかく本当にお綺麗で輝いて見えた……檻に閉じ込められて怒りに震える母上、素敵だった。原作でも「あんた」って呼んでたっけ? 肝っ玉母さんって感じで可愛かったなあ……

 

 

矢一郞:彼の必死すぎて空回りしている感じが見事だった。「矢一郎は~しろ!」って指示してから「矢一郞は俺か」って言うの、たぶんほんとにお父さんがそう口にしていたのを耳で覚えてそのまま言ってるんだろうと思うとなんか、健気だよなあ。改めて見ると政治家一族の後継者揉めそのもので世知辛いけど、深刻にならないのがいい。金閣銀閣に奥の手をちらつかされながら「御所は俺に着いた、南禅寺もそちらには着かない、六波羅も」とか冷静に言ってるところ、京都~って感じで原作から好きだったけどやはりよかった。虎はどうするんだろうと思っていたけれど、下手に人形を出さずに彼の気迫でどうにかしたのが逆にすごく良かった気がする。

 

矢二郎:一番好きなシーンは矢二郎とお父さんが飲んでいるところかも。「京都慕情」を熱唱していたあたり。矢四郎くんがデンキブランを流し込もうとしているときに蛙・矢二郎が「雨水を飲んでる場合じゃないよ」と文句をつけてるシーンとかお兄ちゃんっぽくて好きだったな。

 

矢四郎:思っていた以上にお若い訳者さんなのにすごく上手で可愛かった。矢一郎と矢三郎にはさまれて二人を一生懸命見ているところとか。納涼船のシーンで、おやき?をさきに食べようとして母上に叱られているところとかもかわいかった。携帯電話みたいなものもすごい可愛いの使ってたね。充電シーンがなかったのがちょっとだけ残念かも。雨の中を六道珍皇寺へと走るシーンとか、ものすごい長台詞をこなしていて偉かった。

 

矢三郎:あれだけ長い森見登美彦の台詞を言えるって時点でプロの訳者さんってすごいな……と感嘆してしまう。金閣銀閣に縛られて竹林亭でどうしようもなくなってるときに足で風神雷神の扇を取ろうとしてるところ、好きだった。卵丼の入っていたどんぶりが落ちたときにあわてて手で受け止めてるのは訳者さんの素がちょっとでた感じで応援したくなった。偽叡山電車で事故る前後の、声だけの演技で聞かせるあたりとかすごく好きだったな。南座の上でUターンして、とか、今まさにいるところのこの上を真冬に飛んでたのかな……?!とか思わず天井を見上げそうになった。中村さんのほうも見てみたかったけど、浜田さんも素敵だったのでOKです。またいつか続編もやってほしいな……

 

弁天:本当にお綺麗で……鈴木聡美の衣装はもっと子供っぽくてもよかったんだけど若月さんにはとっても似合っていた。赤い衣装が本当に素敵だった。アニメの弁天は声が清楚すぎて異質な感じがしたけれど、こちらは人間の女の子っぽさと女神様っぽさの両方があって、個人的にはこちらのほうがイメージに近かったかも。

 

夷川:厭なおっちゃんでね~よかったな。原作で「あんたは私のことを夷川と呼ぶ」って言ったのは覚えてたけど、桃仙に横恋慕してた、ってはっきり海星が言っていた記憶がなかったから驚いてしまった。空飛ぶ叡山電車を見て「ありゃ比叡山の特別列車だろ」とか言う京都民向けの小ネタを入れてくれたのもなんかうれしかった! カメラやの金光坊さんも、侍ジャパンだの暑いから空は飛ばずに京阪でくるだの、南座だとなんかしみじみ良かった。そして金閣銀閣、Xで子役の方が「金閣銀閣が出てくると笑ってしまう」と太鼓判を押していたから気になっていたんだけど本当に柄の悪いアホなあんちゃんで、よかった。矢四郎といるときは多少声色がマシだったりするのも萌え。

 

赤玉先生:かわいいどうしようもないおっちゃんという感じだったが、原作で想像していたより愛嬌がある感じ。いやあほんと、楽しかったな……。

 

 

【そのほか】

・結構強めの声で怒鳴り合っていてびっくりした。罵倒をするんでも、普通の声で言いあっているイメージで、あれほど怒鳴り合っているとは想定していなかったから。とくに矢一郎と海星は思っていたより熱烈に罵っていて、かわいかったけど最初びっくりした。でも森見登美彦の長台詞はあれくらい張らないとわけわからなくなりそうだし、よくきこえて良かった。

・文章で読むと「矢二郎」と「矢四郎」を混同することは滅多になかったんだけど、口頭で「やじろうは六道珍皇寺か! やしろうは……」とか言われるとややこしくて、家族内で大変だろうな……とか思った。

・なだ万の助六寿司、おいしかった。

・グッズは鏡とカードを買った。夷川の叔父上と中村さんがでました。じわじわと嬉しい。生八つ橋の「夕霧」というのを買ったので、実家に持ち帰って食べるのがめちゃくちゃ楽しみ……

・訳者さんはすごい。本当はWキャストのもう一方も観に行きたいところだけれど、十分満足しちゃったので他の方に譲ります。刀剣乱舞の歌舞伎もあるし、また南座に行けるのが楽しみ。ありがとうございました!